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−2009年 年初ごあいさつ−


2008年の挨拶

 昨年の1月下旬にパキスタンのラホール(Lahore)市近郊にあるカスール(kasur)で、日本・パキスタン砒素有害地下水合同調査に参加しました。アフガニスタン国境から500km余りのところです。ここでの健康被害は、貧困問題と砒素有害地下水の飲料による医療地質学的問題の両者が原因のようです。予備調査が終わりラホール女子大からの送別の会を受けました。真冬なのに雪は無く、経験にない濃霧の夜でした。そこで、参加した先生や学生と次のような議論をしました。

 日本とパキスタンとでは、どちらが「豊かでしょうか?」。参加者は当然日本でしょうと顔で表現しました。一寸間をおいて。では、パキスタンには、「子が親を殺す」・「親が子を殺す」といった現象はありますかと尋ねました。このことは全く理解できないようでした。「日本には、多くあるのです」と話した時に見られた女子学生の寂しい顔を、今でも脳裏に残ります。さらに、では「パキスタンと日本で、どちらが本当に豊かなのでしょうか?」と質問を繰り返しましたが、回答はありませんでした。しかし、女子学生の顔には安堵感さえ見られました。

 私は、最近の日本人の精神状態を知るために、10年近く前から、このような機会には同じような質問をしてきています。その中で、日本人が深く受け止めなければならないことは、わが国では自殺者が、年数万人に達しているが、あの貧しいアフリカの各国には、自殺の概念がないようです。そして、「何故自分を殺すのか?」といった人間的な深い質問さえ返ってきました。

 そこで、日本では、なぜ「親が子を殺す・子が親を殺す」、「自殺多発」といった現象が、発生するのかを理論的に解析しておくことも重要だと思います。しかし、その解は、いたって単純です。日本人が日本の心を忘れ拝金主義に侵されてきただけのことです。また、その主義に沿った一貫教育が、家庭から大学まで行われ、それも競争さえしていることです。したがって、日本人の価値が、「命の価値」や「人間の絆の価値」から「金の価値」にシフトしたために、「命の価値」が軽くなり、「人間の絆」が細くなったからです。

 さて、土壌汚染対策法が施行5年目になりますが、本来の目的は大地を綺麗にすることであります。しかし、それに反して地質汚染の広域化と深層化が顕在化してきています。このことは、法を運用した者が環境よりも金を大切にるす拝金主義者であったと受け止められないこともありません。これらの「親が子を殺す、子が親を殺す」と「地質汚染の広域化と深層化」との両現象は、私には二重写しにしか見えません。

 しかし、私達は、地質汚染に係わる単元調査浄化法を軸とした国内外に恥じない地質汚染科学を理論的・技術的に確立してきました。また、IUGS(国際地質科学連合)−GEM(環境管理研究委員会)の常任理事(15席)の1席を、私達日本が獲得できました。今年は、これらの条件のもとで、会員各位・地質汚染診断士・単元調査法可能指定調査機関ともども、賛助会員や真摯な国民の暖かい援助のもとに、私達NPOの合言葉「美しい国土の修復をめざして」で粛々と歩みましょう。品格ある日本人・日本列島のために今年も、良識ある会員各位の活躍を祈念いたします。

内閣府認証特定非営利活動法人(NPO) 日本地質汚染審査機構 理事長
楡井 久(地質汚染診断士・理学博士,茨城大学名誉教授)

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