2017年の挨拶
理論と実践の18年間 ―国民の命を守り、宅地の安全性、綺麗な水循環を求めて―
学士会館で創立記念式典を行うと、その組織は長く発展するという湊 秀夫名誉会員(東大名誉教授)からの推奨を受け、その挙行をしてからNPO法人日本地質汚染審査機構の活動が内閣府から認証され、今年で創立18周年を迎えます。私たちは中立性・科学性の精神を堅持し「美しい国土の修復をめざして―地球と未来のこどもたちのために―」を創立以来の合い言葉に活動をして参りました。
一方、幸いなことに政府の施策のなかに、私達のモットーの実践で心強い味方がふたつあることを知りました。そのひとつが、2014年7月1日に施行された水循環基本法であります。もうひとつが、私達のモットーともシンクロナイズする2011年3月開始(環境省による)の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」であります。未来の子供の命を守り、そして浄化・修復し美しい日本列島を引き継ぐために、このふたつの施策は最も重要な課題と思われ、当機構も両施策の達成に尽力いたします。
国際科学団体・国連組織では、「フューチャー・アース」として地球環境と人間活動で、政策者・研究資金提供者・研究者・産業界・市民による共労企画・共労生産を提唱しています。本機構の18年の活動のモットーは「フューチャー・アース」そのものでした。そして、各地質汚染診断士育成の研修会を通じて、国民の住環境保全に関わる横断型の観点から宅地総合理学診断師を世に送り出す予定です。また、昨年で毎月末(金)に開催する地質環境問題解決のための普及・啓発活動としての「イブニング・セミナー」も第193回に及び、国連学術団体などと共催した多数の国内外シンポジウムも精力的に実施し、当NPOの機関紙「モグラGEO―ECOニュースレター」の年4回の定期刊行システムも確立してきています。
各地質汚染診断士が診断する地質汚染(Geopollution)現象は、地層汚染(土壌層汚染も含む)(Strata Pollution)+地下水汚染(Groundwater Pollution)+地下空気汚染(Ground air Pollution)からなる大地の総体的汚染です(Medical Geology,国際惑星地球年(IYPE)記念行事刊行物による)。正しい地質汚染の調査や浄化は単元調査法で行われます。
健全で綺麗な水循環を構築し、子供の健康ための環境維持のためにも、ますます単元調査・浄化による地質汚染問題の解決が重要になってきています。
国土の汚染はさらなる複雑さを増し、住宅地での地質汚染は人の健康にも影響してきている可能性も否定できません。こんな時にこそ、創立以来、自前の精神に徹して18年間、微動もしない本NPOの活動を、これからも皆様とともに継続・強化して行く所存であります。
NPO法人日本地質汚染審査機構 理事長
理学博士・茨城大学名誉教授
楡井 久
(地質汚染診断士・地層液流動化診断士)
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