NPO法人日本地質汚染審査機構

地層液流動化診断士の趣旨と目的

道路から浮き上がったマンホール


 2011年3月の東日本大震災により東京湾岸の埋立地をはじめとして、各地で深刻な液状化・流動化・地波被害が発生したことは、マスコミにより報道されたとおりです。その対策のための検討が各地で行われていますが、その中でこれまで液状化判定に用いられてきたN値による工学的手法では評価できないことが明らかになってきています。
 N値(標準貫入試験値)は、地層の硬さを表す指標のひとつで、63.5kgの重りを75cm落下させてサンプラーを30cm打ち込むのに必要な落下回数をいいます。ふつう深度1m毎に調べます。これは、深さ方向1m毎に試料を採取する土壌汚染対策法の無単元調査法の問題点とも共通するもので、複雑に重なっている地層を機械的に調べても実態は明らかにすることができません。
 地質汚染の単元調査法と同じように、オールコアボーリング(地層試料を深さ方向に連続的に採取するボーリング)で試料を採取し、液状化・流動化の生じた地層を判定する地層液流動化の単元調査法が必要とされています。この新しい調査方法は潮来市の液流動化対策に適用されて大きな成功をおさめております。

 人体構造を熟知し臨床経験を十分積んだ医療免許取得者(医者)のみが的確な外科手術をおこなうことができるように、地質や地下構造を熟知し地層液流動化現象に対して高度な知識と技術を修得した者が的確な手段と手法により総合的に対処することができます。地層液流動化問題に総合的に対処できる高度な知識とトレーニングを積んだ技術者を「地層液流動化診断士」として認証する事業を2013(平成25)年度から開始しました。
 2012年度には地質汚染診断士を対象に地層液流動化診断士の認証を始めており、24名の地層液流動化診断士を認証しています。2013年度からは、当法人が主催する春と秋の地質汚染調査の技術研修会のいずれかと地層液流動化の技術研修会を修了した方を対象に試験を実施し、合格者を地層液流動化診断士として認証していきます。

 地層の液状化・流動化・地波被害の対策のためには、液状化・流動化した地層を正しく判定することが必要です。そして、それに基づいて対策を選定しなければ、無駄な費用を費やすばかりでなく、対策の効果が得られない場合も生じます。
 液状化・流動化した地層の正しい判定を下すことができるのは地層液流動化診断士だけです。

地層液流動化診断士 規約

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