−2012年 年初ごあいさつ− |
2012年の挨拶東日本大震災と地文学
明治35年発行(110年前)の旧制中学の教科書「地文学」(地質学者:佐藤伝蔵著)の終章に「人類と自然」があります。 人類は此の如く自然の制裁を受くると同時に、又自然に對し種々の影響を及ぼすものなり。河流・潮汐・風力等の如き自然力を利用するは固より、沼澤を變して沃土と爲し、淺海を埋めて陸地となし、隧道、竪穴を穿ち、地峽を開鑿し、港灣を築き、地球表面に著しき變化を興ふると同時に、動植物を飼養して巨多の變種を生ぜしめ、或いはその移住傅播を助けあるいは之を斃して其の種を絶滅せしめ、或は森林を伐採して間接に地貌及ひ氣候を變化せしむ。而して此の人類の自然に對する影響は、人智を開け、人文進むと共に益々其の度を揄チするなり。 此の如く自然は人類に對し種々の影響を及ぼし、人類は又自然に對し、種々の影響を及ぼし、人類と自然との關係は密接離る可らざるものあるを以て、能く此の自然の法則を究め、能く此の自然と人類との關係を明にし、自然物を利用し、人生の幸福を求むるは吾人々類の自然に對し。宜しく務むべきの義務なり。」 はたして、この110年間の学資経験とはなんであったのか。そして、今年は全学識経験者が、地文学がなぜ消滅したのかを研究する年でもあるようです。また、環境・防災に関わってきた政治・行政・業界も、この終章を深く心に刻んで頂きたい。復旧・復興・除染の政府予算が巨大化しても「仏作って魂入れず」になっています ちなみに、東日本大震災の復旧・復興、そして放射能汚染調査・除染を科学的に出来るのは、地文学を学んできた私達日本地質汚染審査機構の会員・地質汚染診断士各位であることは、自明であります。私達は、国内外の経済混迷のなかでも科学性・中立性を堅持し、環境・防災を含めた美しい国土の修復に貢献しましょう。
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